ワークフローとは?
ワークフローシステムのメリットや選び方などを解説!
ワークフロー(Workflow)とは、もともと「業務フロー」つまり、社内で行われる業務の一連の流れを指す言葉です。
特に、稟議のための役職者の承認を伴うワークフローを指すことが多く、これをデジタル上で実現するソフトウェアやツールを指すケースも少なくありません。
1. ワークフローとは?
ワークフローとはもともと、社内で行われる業務の一連の流れ、つまり「業務フロー」を指す言葉です。特に、稟議のための作業や手続き、たとえば、新規取引先の与信申請や備品の購入、交通費精算、休暇申請といったものを指し示すことが多いです。
さらに、これらをデジタル上で実現するツール(ワークフローシステム)を指して、単に「ワークフロー」とよぶことも少なくありません。
ワークフローシステムとは?
稟議には多くの場合、複数名の役職者の承認が必要となり、最終的な許可が下りるまでに手間と時間がかかります。これを効率化し、スピードアップするためのソフトウェアなどを「ワークフローシステム」といいます。
ワークフローシステムを活用することで、ワークフローを可視化できるため、現在の進捗状況をリアルタイムで確認できるようになります。また、紙の書類を回覧するよりも効率良くスピーディに確認・承認を進められるといったメリットがあります。
ワークフローシステムのメリットについては、次章で詳しくご紹介いたします。
2. ワークフローシステムのメリット・デメリット
ワークフローシステムのメリットとは何でしょうか?
デメリットも併せてご紹介いたします。
ワークフローシステムのメリット
まずは、メリットから見ていきましょう。
ワークフローを効率化できる
まず、システム化する過程で、それまで慣例的に行われてきたワークフローが再定義されることになります。この段階で非効率的な個所があれば改善され、効率化が進むでしょう。
また、実際に運用がスタートしてからは、「書面に判を押して次の承認者に紙を持って行く」といった手間がなくなり、自席でPCやスマートフォン、タブレットなどからワークフローシステムにアクセスして承認ボタンを押すだけで済むようになります。承認のためだけに、わざわざ出社するといったことも不要になるため、テレワークの導入や働き方改革の実現もしやすくなるでしょう。
ワークフローを可視化できる
ワークフローシステムを利用しない場合のワークフローでは、書面を回覧します。このため、稟議書が現在どこにあるのか、誰が確認中なのかといったことを把握するのは難しくなります。
その点、ワークフローシステムであれば、承認がどこまで進んでいるのか、あるいは誰が拒否したのかといった進捗状況を、関係者全員が目で見て確認できます。
また、ワークフローそのものが可視化される点もメリットです。これにより、普段から申請回数の多いメンバー以外にもワークフローを共有できるようにもなります。
ワークフローをスピードアップできる
「ワークフローを可視化できる」で述べたように、ワークフローが可視化されることで「書類がどこかで止まってしまっている」といった原因不明の遅れが解消されます。このことから、ワークフローのスピードアップが叶います。
ワークフローのルール順守を促せる
ワークフローが可視化されたことに付随するもう一つのメリットとして、再定義された正規のワークフローに則った作業を促せる点が挙げられます。あらかじめワークフローシステムに登録された方法と流れでしか作業が受け付けられなくなるため、推奨されたフローとは異なる自己流の方法は通りにくくなります。このため、内部統制にも効果的です。
ワークフローの履歴を効率よく管理できるようになる
ワークフローシステム上で処理された内容はデータとして履歴が残ります。このデータをワークフローシステム上で一元管理できるため、それまでのような書面による管理に比べ、効率よく管理できるようになります。
また、過去のワークフローから、特定のキーワードや年月などで検索・参照できるようにもなり、利便性が向上します。-
ワークフローシステムのデメリット
一方、ワークフローシステムの導入にもデメリットがあります。
ワークフローシステムに合わせて作業を変更する必要が出てくる
「ワークフローのルール順守を促せる」でご紹介したように、より効率化を求めて既存のワークフローを見直すことは大切ですが、そうではなく、ワークフローシステムの仕様に合わせて、仕方なく作業の内容や流れを変更しなくてはならなくなる、というデメリットです。
慣れたやりやすい方法、また、もっとも効率の良い方法ではなく、ツールの機能や仕様に合わせて非効率的な方法で作業しなければならないのでは、本末転倒になってしまいます。
データ連携ができず、効率化が限定的になる
導入したワークフローシステムが、既存の営業支援システムや人事システムなどと連携できれば、データを連携することでさらなる効率化が望めます。データを2重に登録する手間がなくなるだけでなく、入力ミスによる不整合なども発生しません。
しかし、連携できないものを導入してしまうと、データ連携が行えず、期待していた効率化も限定的なものになってしまいます。
これらのデメリットはいずれも、導入するワークフローシステムの選び方にもかかってきます。のちほど、「ワークフローシステムの選び方」でもご紹介しますが、上記のようなデメリットが発生しないようなものを選定する必要があります。
3. ワークフローシステムの導入効果
上でご紹介した「メリット」とは少し視点を変え、ワークフローシステムを導入することで企業として期待できる効果について考えてみましょう。
働き方改革の実現
ワークフローシステムを導入すると、稟議書に判を押す必要がなくなります。オンラインで稟議書データを確認し、承認ボタンを押すといった対応で済むため、オフィスにいなくてもワークフローが行えるようになります。
その結果、時短勤務やテレワークなどが可能になったり、判を押すためだけにオフィスへ戻る必要があって残業になってしまう…といった非効率さを解消でき、働き方改革の実現につながります。
働き方改革に関しては、こちらの記事もご覧ください。
ワークフローが実現する「働き方改革」×「ビジネス効率化」
テレワークの実現
前項でお伝えした通り、ワークフローシステムの導入により、オフィスにいなくてもワークフローがスムーズに行えるようになるため、出社する必要がなくなります。
働き方改革のほか、パンデミックや大規模災害時、また、従業員満足度の向上のためなどに導入するテレワークも実施しやすくなるでしょう。
テレワークに関しては、こちらの記事もご覧ください。
4. ワークフローシステムで解決できる課題とは?
さらに視点を変え、ワークフローシステムを導入することで解決が期待できる課題を見ていきましょう。
稟議関連業務の非効率さの解消
ワークフローシステムを導入していない場合、紙ベースでの稟議になるため、所定のフォーマットを印刷して手書きしたものに、やはり印刷した資料を付けるなどして、承認者間で回覧する流れを取ります。
しかし、この場合、過去に似たような申請があったとしても1から記入しなければならず、効率的ではありません。手書きなので、記入ミスも起きやすいといえます。また、抜け漏れや記入の誤りがあったとしても、承認者が気づいて指摘するまで気づかないことが多いでしょう。
一方、ワークフローシステムを活用すれば、過去の稟議書を複製して変更箇所のみデータを変更するといった方法をとることができ、稟議書作成の時間と手間を削減することが可能です。
また、入力欄がプルダウンやラジオボタンなどで選択するだけで済んだり、入力ミスや抜け漏れがあった場合はアラート表示されるなど、記入ミスを低減できる機能も利用できます。
稟議の不透明さの解消
稟議書の承認フローが不透明だと、申請者が迷うだけでなく、外部監査にも悪影響です。
ワークフローシステムを利用すれば、導入そのものがまず、フローの見直しや再定義を行う良い機会となり、さらに運用時もあらかじめワークフローシステムに登録された流れと操作以外は受け付けられないため、全員が標準化・統一されたワークフローで操作することになり、透明性を向上できます。
稟議関連の情報共有不足の解消
稟議が行われているという事実やその内容は、申請者や承認者はもちろん、社内全員に共有されるべきです。しかし、紙ベースの稟議フローでは、情報共有が難しく、いままさに稟議中の書類でさえ、どこにあるのか把握できないことが少なくありません。
そこで、ワークフローシステムを導入すれば、従業員はワークフローシステムにアクセスすることで、現在進行形の稟議についても過去の稟議についても、その内容や時期などを確認できるようになります。
ワークフローが実現する「働き方改革」×「ビジネス効率化」
5. ワークフローシステムを導入する手順
ここまでご紹介してきたように、導入・活用することで、さまざまなメリットを享受できるワークフローシステム。
では、実際に導入する場合はどのような手順を踏むことになるのでしょうか?以下でご紹介します。
ワークフローシステム導入の推進者を決める
まず、ワークフローシステム導入の推進者を決めましょう。
この推進者は、現状の調査や導入するワークフローシステムの選定、導入後の利用促進、トラブル発生時の対応窓口などを担います。
情報システム担当部門と、ユーザー部門である現場の担当者の双方から推進者を選出してチームを組めるとベストです。
ワークフローの現状に対する調査
導入前の社内のワークフローがどのように行われているのか、また、その中でどのような課題があるかなど、現状を調査します。
1件の提出から完了までにかかっている時間など、書類を確認して把握できる内容に加え、ミスが起きやすい箇所などを直接ヒアリングする場も設け、課題を具体的に把握しましょう。
稟議フローの見直し・改善
前項の調査結果と、浮き彫りになった課題を元に、改善を加え、稟議フローのあるべき姿を描き直しましょう。
似たような申請のフォーマットはまとめる、稟議の内容によっては必要な承認数を減らすなど、より効率的となるような方向で変更を検討し、稟議フローを再定義します。
さらに、再定義した稟議フローについて、社内の承認を得ましょう。
ワークフローシステムの選定・契約
見直しを行った新しい稟議フローでの運用を前提とし、導入すべきワークフローシステムを選定します。
既存システムとの連携の有無や搭載機能のほか、料金体系や金額が予算と合うかどうか、サポート体制などの項目をチェックして、自社に合ったものを選ぶ必要があります。
ワークフローシステムの選び方については、次章で詳しくご紹介いたします。
6. ワークフローシステムの選び方
ワークフローシステムを選定する際に確認しておきたいポイントを7点、ご紹介いたします。
操作がシンプルで、直観的に行えるかどうか
ワークフローシステムは、従業員全員が関わる可能性のある稟議業務を担うものであるため、使いやすいものであることが重要です。人によって何を使いやすいと感じるかは異なるでしょうが、シンプルな操作で直観的に扱えるものであれば、大きな問題は生じにくいといえます。
操作マニュアルを読み込まなくてもすぐに扱えて、慣れやすいようなワークフローシステムを選びましょう。
オンプレミス型かSaaS型か
近年、多くのアプリケーションがSaaSで提供されていますが、なかにはまだ、オンプレミス環境で提供されているものもあります。オンプレミス型の場合、運用・保守といった管理面は自社内で行う必要があります。これが自社にとってメリットとなるかデメリットとなるかは、情報システム部門の体制などによって変わってきます。
オンプレミス型かSaaS型か、自社はどちらの方が都合が良いのかも始めの段階でチェックしておく必要があるでしょう。
連携できるシステムの種類
経理システムや人事システム、営業支援システムなど、すでに自社で導入済みのシステムやアプリケーション、SaaSなどとデータ連携できるシステムを選びましょう。
また、今後、新たに導入するツールともできる限り連携できるよう、導入を検討中のツールなどと連携可能なワークフローシステムを選ぶことも大切です。単純に、連携できるツール数の豊富さで比較してみるのも良いでしょう。
使用可能なデバイス
オフィス外からのアクセスも想定している場合は、パソコン以外にスマートフォンやタブレットにも対応しているかどうかを確認しておく必要があります。
現時点では社用のモバイルデバイスを導入していなくても、将来的に利用の可能性もあるため、できるだけモバイル対応しているものを選ぶと良いでしょう。
稟議フローの変更にも対応可能か?
ワークフローシステムを導入・運用後、時間の経過とともに稟議フローの見直しや変更が行われる可能性もゼロではありません。
そのような場合に備え、項目や流れなどの変更を行いやすいかどうかも確認しておきましょう。
料金体系や金額が自社の希望と合うか
初期費用がいくらなのか、月額料金や年額料金は発生するのか、支払いサイト、カード決済は利用できるか?など、利用料金の支払いに関していくつかチェックしておかなければならない点があります。予算に見合ったシステムであることはもちろん、自社の経理部門などとも相談して、自社の都合と合うものを選ぶ必要があります。
カスタマイズの可能範囲や容易さ
自社の稟議フローがあまり一般的ではなかったり特殊な要件があったりすると、ワークフローシステムをカスタマイズする可能性があります。そもそも、カスタマイズが可能なものか、可能だとしたら自社でも行えるのか、難易度や費用などを確認しておきましょう。
特にカスタマイズは行う予定がないという場合、この項目は割愛しても良いでしょう。
7. おすすめワークフローシステム12選
国内外のさまざまなワークフローシステムの中から、12点をピックアップしてご紹介いたします。
intra-mart(イントラマート)
intra-martは、エヌ・ティ・ティ・データイントラマートが提供する、ローコード開発・業務プロセスのデジタル化ツールです。プログラミングのスキルを持たない現場の担当者が、ドラッグ&ドロップなどの操作で簡単に開発できるローコードツールで、変化にすばやく対応でき、競争力強化につながります。
APIコンポーネントが用意されておりAI、OCR、RPA、電子署名などのデジタル技術との組み合わせも可能で、ワークフローを高度に自動化することができます。
導入実績は9,500社以上。16年連続、ワークフロー市場でシェアNo.1(シェア率25%)を誇ります。
kintone(キントーン)
Kintoneは、サイボウズ株式会社が提供する、Webデータベース型の業務アプリ構築クラウドサービスです。リッチテキスト、日付、チェックボックス、計算といった28個のパーツが用意されており、これらを組み合わせることで、申請フォーマットを作ることができます。
経費精算、契約押印申請、プロジェクト管理申請、労務業務申請などのワークフローに対応。モバイルにも対応しています。
付随機能として、リマインド通知やレポート機能なども付いています。
導入実績は2万社以上。
ジョブカン ワークフロー
ジョブカン ワークフローは、株式会社DONUTS(ドーナツ)が提供するクラウド型業務支援システム「ジョブカン」シリーズのワークフローシステムです。申請・承認業務にかかる時間を1/3に削減できることをうたっています。導入実績は12万社以上(※シリーズ累計)。
Google アカウントやGoogle Workspace(旧:G Suite)、クラウドサイン、AmazonBusinessなどとの連携が可能。スマホからも利用可能です。
また、ただ承認するだけでなく、その際にコメントを付記できる機能や、承認経路の分岐機能などが搭載されています。英語にも対応。
設立3年未満の企業はジョブカンシリーズを1年間無料で利用できるキャンペーン「ジョブカン起業支援プロジェクト」を開催中です。
collaboflow(コラボフロー)
collaboflowは、直観的な操作性で誰でもワークフローを簡単に作ったり修正したりできることを強みとするワークフローシステムです。既存のExcelファイルをそのまま申請フォームに偏見して利用することができます。また、経路の設計は、あらかじめ用意されたパーツをドラッグアンドドロップで並べるだけで作れます。
修正が簡単に行えるため、スピード重視でスモールスタートし、運用しながら改善を加えるというスタイルの実現が可能です。
30日間の無料お試し期間が付いているほか、営業スタッフが付いてオンラインで30分間のデモ環境を試すことも可能です。また、ハンズオンセミナーもオンラインで開催されています。
承認Time
承認Timeは、SBIビジネス・ソリューションズ株式会社が提供する、社内文書の申請と決裁業務を電子化するワークフローシステムです。クラウド型でWeb上で申請・承認を行います。
最短1週間で導入できるスピーディさと、1アカウント月額料金300円から利用できる低コストさを強みとしています。スマホにも対応しています。
複数言語に翻訳できるため、海外拠点の多いグローバル企業にも向いています。
無料トライアルが用意されています。
SmartDB(スマートディービー)/ワークフロー機能
SmartDBは、株式会社ドリーム・アーツが大企業向けに提供する、ワークフローとWebデータベース機能を備えた業務プラットフォームです。導入実績は1,000社以上。
ワークフロー機能では、自由度の高い承認ルートを簡単に設定でき、条件分岐なども可能です。また、複数部門の担当者で並列に承認できる機能があり、決裁までにかかる期間を短縮することができます。
受賞歴では、ITreview Grid Award」2021 Fallで「ワークフロー」「Webデータベース・ノンプログラミング開発」「ローコード開発」の3つの部門で「Leader」と「High performer」に認定されています。
楽々Workflow II
楽々Workflow IIは、グローバルに対応したワークフローシステムで、オンプレミス版とクラウド版が用意されています。導入実績は700社以上。
特長は、導入後すぐに使い始められるリードタイムの短さながら、長期運用で大規模利用まで想定されている点。スモールスタートが叶います。それでいて、クラウド版は5名の少人数からの利用が想定されています。
クラウドERP ZAC
クラウドERP ZACは、案件・契約・プロジェクト単位での業務進行を想定したクラウドERPで、特に「システム・IT業」「広告・イベント・クリエイティブ業」「士業・コンサルティング業」をターゲットとしています。導入実績は750社以上。
主にプロジェクト管理を担うシステムの中にワークフロー機能が付いています。
ワークフロー機能では、電子承認による申請・決裁機能および申請・承認ログの管理が可能です。
rakumo ワークフロー(ラクモワークフロー)
rakumo ワークフローは、rakumo株式会社が提供するワークフローシステムで、直感的に操作できるUIが特長です。また、Google Workspace(旧:G Suite)との連携が可能。カスタマイズ性も高く、システム担当者でなくても簡単に行えます。
スマートフォンやタブレットで社外からアクセスすることも想定されており、ハンコ出社ゼロを掲げています。
受賞歴は、「ITreview Grid Award」の「ワークフロー部門」で9期連続の受賞、「Google Workspace」の「拡張機能部門」で10期連続、「Leader」認定の実績を持ちます。
AgileWorks(アジャイルワークス)
AgileWorksは、日鉄ソリューションズ株式会社が提供する高機能ワークフローパッケージです。日本の商習慣に合わせて大企業向けに開発されている点が特徴です。大規模組織管理に対応し、ホールディングス企業など親会社からの部分権限の委譲が可能だったり、組織変更や人事異動を先日付で事前設定できたりします。
個別に必要な機能は、カスタマイズではなく、アドオンを追加するかたちで実現します。
ワークフローEX
ワークフローEXは、株式会社Knowlbo(ナルボ)が提供するワークフローシステムで、Webブラウザ上で動作します。
申請フォームがExcelシートであるため、これまでExcelファイルによる申請書のフォーマットを使っていた企業などで受け入れられやすいでしょう。申請はExcelファイルをドラッグ&ドロップするだけで済み、現状のExcelファイルを使いながら電子捺印を実現できます。
wrike(ライク)
wrikeは、米国発のワークフローシステムで、導入実績は世界で2万社以上。日本語にも対応しており、日本でも1,000社以上の導入社数を誇ります。
Kintoneと同様に、プロジェクト管理およびコラボレーション用オンラインツールのため、プロジェクトプランの調整、タスクの優先順位付け、スケジュールの進捗管理も可能です。スケジュール管理では、ガントチャートが利用できます。またダッシュボード機能があり、すべてのタスクの一覧化が可能です。
8. ワークフローシステムの導入事例
実際にワークフローシステムを導入した企業では、どのようなソリューションを実現しているのでしょうか?
ここでは、エヌ・ティ・ティ・データイントラマートの「intra-mart」を導入した企業から実際の事例の一部をご紹介いたします。
整備部門で情報連携をワークフロー化し、ペーパーレス化と作業工数削減に成功(全日本空輸株式会社)
ANAの愛称で知られる全日本空輸では、整備部門において従来、整備作業内容の情報共有が紙ベースで行われていました。海外からは郵送で、国内からはFAXで、1日に100枚ほども送られてきたものを、担当者は手作業でシステムに入力していたといいます。入力作業そのものにはさほど労力がかからないものの、届いた情報をチームごとに仕訳したり、手書きのため生じる誤記や記入漏れへの対応に時間がかかっていたそうです。
そこで、「intra-mart」を導入して、整備作業内容の情報共有をワークフロー化。ローコード開発により整備現場でアプリケーションを開発し、運用を切り替えたところ、書類を7割削減。また、業務工数を、年間で約8,400時間も削減でき、紙の保管スペースも不要になりました。
事例の詳細は、こちらをご覧ください。
整備現場主導の業務改革で情報連携をワークフロー化 紙の量を7割削減し、作業工数を年間約8,400時間削減
決裁者が不在でもオンラインで確認・承認できるようになった(伊藤超短波株式会社)
超短波治療器など物理療法機器のパイオニアである伊藤超短波では、従来、事業部ごとに文書管理や顧客管理を行ってきたそうです。このため、部署間での情報共有に時間がかかり、顧客からの問い合わせに影響が出ていたほか、必要な文書を探すのに時間と手間がかかったり、重複した情報があったといいます。
そこで、基幹システムの入れ替えを機に「intra-mart」を導入。全社で文書管理の統一化を図るとともに、稟議や、製品の修理受付から完了までのプロセスをワークフロー化しました。
その結果、文書の重複などもなくなり、常に最新の文書を検索によって閲覧できるようになったほか、決裁者が不在でもオンラインで確認・承認できるようになり、迅速な承認が可能になったそうです。
また、修理対応中の案件の現在のステータス情報が確実に把握できるようになり、お客様の問い合わせに即答することができるようになりました。intra-martの、ドラッグ&ドロップなどの操作で簡単にシステムを構築できるローコード開発の機能により、カスタマイズを内製化することができるメリットも享受できているといいます。
事例の詳細は、こちらをご覧ください。
基幹システム更新に合わせて「intra-mart」を導入 文書管理の統合とワークフロー化で生産性向上に貢献
発注依頼をワークフロー化し、内部統制を強化(佳能光学設備(上海)有限公司)
キヤノングループの佳能光学設備(上海)有限公司では、半導体や液晶画面を製造する産業機器の販売を手掛けています。同社では、2012年に「intra-mart」導入しており、旅費・経費精算業務における紙の帳票と印鑑を用いた承認の“スタンプラリー”を解消。さらに、2020年5月のバージョンアップで、キヤノングループの厳格な内部統制に基づくガバナンス強化を実現すべく、活用の幅を広げました。
具体的には、ローコード開発の機能を活用して、購買業務におけるサプライヤー管理の効率化を実現しました。電話やメールによる発注依頼をワークフロー化し、事前申請から発注、支払申請までの一連の業務プロセスを「intra-mart」上で完結。申請者自らが取引有効期限や使用部門などサプライヤーに関する情報を細かく入力することで、内部統制の強化を図ったといいます。
事例の詳細は、こちらをご覧ください。
内部統制の強化を支えるシステムの基盤にintra-martを採用 バージョンアップを経て社内外のシステム連携で業務効率化を実現
9. ワークフローシステム導入で失敗しがちな点と成功のポイント
ワークフローシステムを導入する際の選定の仕方、また、導入した後の運用の仕方によっては、ワークフローシステムを活かし切れず、導入を失敗してしまう可能性もあります。
ここでは、ワークフローシステム導入で失敗しがちな点と、これを回避する成功のポイントをご紹介いたします。
【失敗1】初期設定が複雑で時間がかかり、なかなか運用開始できない
特に高機能なワークフローシステムを導入した場合、運用開始までに設定を済ませなければならない項目が多いです。
ユーザー部門の従業員たちの期待感が高いうちに利用開始できるよう、導入から実際の利用までのリードタイムは短く抑えたいものです。
【成功のポイント】
- 必要以上に高機能なワークフローシステムを選ばない。
- 設定のサポートが手厚いベンダーを選ぶ。
【失敗2】導入したのは良いが、あまり活用されていない
せっかく時間的コスト・金銭的コストをかけて導入したワークフローシステムが、活用されず放置されていてはコストが無駄になってしまいます。
活用されない原因はいくつか考えられ、たとえば「操作が難しい」「実際のワークフローとシステムの機能が合っていない」「途中でワークフローが変更になったが、システム側の変更ができない」などが挙げられます。
【成功のポイント】
- 導入前に、自社のワークフローの現状を調査しておく。特に、現場からのヒアリングや、ワークフローの定義などの準備をしっかり行っておく。
- 直観的に操作できるシンプルなツールを選ぶ。
- 現場の担当者でも変更可能なローコードツールを選ぶ。
【失敗3】既存のシステムとデータ連携ができず、非効率的
既存のシステムとワークフローシステムで、顧客情報や従業員情報などを連携できれば、同じデータを何度も入力する必要がありません。
しかし、連携できなければ、二度手間になるばかりか入力ミスの確率も上がり、また、「株式会社」と「(株)」のような表記揺れも発生しがちで、それぞれのシステムを参照した時に同じデータであるかどうかを瞬時に判別できません。
【成功のポイント】
- 既存システムとデータ連携ができるワークフローシステムを選ぶ
- 今後の拡張性も考え、数多くのツールとAPIなどで連携できるワークフローシステムを選ぶ
10. ワークフローシステムに関する用語集
最後に、ワークフローシステムの理解や導入を進める上でぜひ知っておきたい関連用語をご紹介いたします。
押印(おういん)
押印とは、印を押すこと、捺印のことです。
回議(かいぎ)
回議とは、立案した内容を関係者間で順番に回し、意見を聞いたり承諾を求めたりすることです。
回付(かいふ)
回付とは、書類などを順番に回して届けることです。
回覧と異なり、中身に目を通すことまでは含みません。
回覧(かいらん)
回覧とは、書類などを順番に回して読むことです。
回付とは異なり、中身に目を通すことまでを含みます。
却下(きゃっか)
却下とは、申請などを退けることです。ワークフローにおいて却下されれば、そこで承認工程が終了となります。
決裁(けっさい)
決裁とは、権限を持つ上位者が下位者の提出した事案について可否を決めることです。
この権限を持つ人を「決裁者」とよびます。
合議(ごうぎ)
合議とは、2人以上の承認者全員の承認が必要な承認形式のことです。
採番(さいばん)
採番とは、番号を割り当てることです。特にワークフローにおいては、申請時・決裁完了時に行われます。
差し戻し(さしもどし)
差し戻しとは、提出された申請などを元へ戻すことです。ワークフローにおいては、修正や見直しが必要な場合に行われることが多く、対応後に承認を再開します。
条件分岐(じょうけんぶんき)
条件分岐とは、申請の内容などによって承認ルートが枝分かれすることです。
特に、ワークフローシステムにおいては、条件によって決裁者や承認段階などを変えることが可能です。
承認(しょうにん)
承認とは、申請などに対して承諾することです。
この権限を持つ人を「承認者」とよびます。
申請(しんせい)
申請とは、希望や要望などを願い出て、承認・決裁を求めることです。
申請があると、あらかじめ決められた承認ルートに従って承認者や決裁者へ回付が行われます。
代理承認(だいりしょうにん)
代理承認とは、承認者が何らかの理由で承認が行えない場合に、承認者から委託された代理人が代わって承認を行うことです。
代理申請(だいりしんせい)
代理申請とは、申請者が何らかの理由で申請が行えない場合に、申請者から委託された代理人が代わって申請を行うことです。
内部統制(ないぶとうせい)
内部統制とは、組織内で不正や違法行為などの発生を防ぐために組織を統制するための仕組みのことです。
並列回付(へいれつかいふ・へいれつしょうにん)
並列回付(承認)とは、2人以上の承認者のうち、いずれか1名の承認が必要な承認形式のことです。
稟議(りんぎ)
稟議とは、組織において会議の開催の手間を省くために、担当者が事案を作成して関係者間で回し、承認を求めることです。この時の文書を「稟議書」といいます。
ワークフロー
ワークフローとは「業務フロー」を指す言葉で、特に新規取引先の与信申請や備品の購入、交通費精算、休暇申請といった稟議のための作業や手続きのことです。
これをデジタル上で実現するツールのことを「ワークフローシステム」といいます。
11. まとめ
ワークフローやワークフローシステムに関するさまざまな情報をまとめてご紹介してきました。ワークフローというと一般的に、稟議に関する申請フローを指すことが多いですが、採用するシステムによっては、ほかの定形業務もシステム化することができます。
「intra-mart」なら、プログラミングのスキルを持たない現場の担当者が簡単にアプリケーションを開発できるローコード開発の機能が付いているため、時間の経過とともに変更が生じたフローに合わせてシステムを改修することが可能です。
ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。